矯正コラム

マウスピース矯正の途中で親知らずを抜歯することはあるの?

2017年07月11日 (火)

歯列矯正に伴う抜歯が必要な場合、矯正治療に入る前に行うことが一般的です。しかし場合により、矯正途中で親知らずを抜歯することもあるようです。ではマウスピース矯正の場合、途中で親知らずを抜歯することはあるのでしょうか。またその理由も考えてみます。

親知らずはなぜ抜歯する必要があるのか

親知らずはなぜ抜歯する必要があるのか

歯列矯正を行う行わないに限らず、親知らずを抜歯することはよくあることです。真っ直ぐに生えており、噛み合わせに影響がない場合、そのまま様子を見ることが多いですが、この親知らずはいちばん奥に生えているため、歯ブラシの毛先が非常に届きにくく、虫歯リスクがとても高いという特徴があります。また親知らずに汚れが溜まり、周囲の歯ぐきが腫れてしまうこともよくあります(智歯周囲炎)。

親知らずの虫歯が進行してしまった、あるいは何度も腫れを繰り返す場合、抜歯を行うことが多くなります。

そして親知らず本体だけでなく、手前の第二大臼歯に虫歯を作ってしまうことがあります。奥歯はフロスが通しにくいことから、親知らずと手前の歯の間に汚れが溜まり、そこから虫歯になってしまいます。親知らずが痛いということで診察を受けてみると、親知らずではなく手前の歯が虫歯だったということもよくあります。このように、大切な第二大臼歯が虫歯になってしまう原因が親知らずにある場合、抜歯の対象になると考えられます。

また親知らずは歯並びや噛み合わせに重篤な悪影響を与えることがあります。特に親知らずが斜めに生えている場合や歯ぐきの下で横向けに生えている場合、隣の第二大臼歯を押し、歯並びに乱れを生じさせてしまう原因のひとつになります。その上歯並びの乱れは噛み合わせの異常も引き起こします。噛み合わせに異常が起きてしまうことで肩凝りや頭痛といった不快症状を引き起こしてしまうことがあります。

つまり周りの歯に迷惑をかける親知らずをそのまま放置してしまうと、歯並びだけでなく全身の健康にも悪影響が出てしまう可能性があることから、抜歯を勧められるのです。

マウスピース矯正途中に親知らずの抜歯は必要なのか?

歯列矯正を行う際に、歯が並ぶスペースを確保するために、小臼歯を抜歯することはよくあります。では親知らずは、どんな場合だと抜かなければいけないのでしょうか。

●歯の移動のために抜歯が必要な場合

これは上顎前突(出っ歯)の場合に上の親知らずを抜歯するケースがあります。出っ歯の場合、前歯を後方へ移動させる必要があるため、上顎の親知らずを抜くことで後方への移動を促します。

●矯正途中で親知らずが虫歯になってしまった場合

マウスピース矯正中は親知らずでなくとも虫歯になる可能性は高くなります。しっかり歯みがきをしていたつもりでも、特に親知らず周辺はどうしても虫歯になる可能性が高く、矯正中に虫歯になってしまうことがあります。矯正前に虫歯になっていなかった親知らずが矯正途中で虫歯になってしまった場合、抜歯を行うことがあります。

●抜歯した親知らずを移植する場合

抜歯した親知らずを他の部位に移植するケースもあります。しかしマウスピース矯正の場合、矯正を始める前にこの処置を行うケースはありますが、マウスピース矯正途中にこの方法は使うことは考えられません。

●とりあえず抜歯せず様子を見る場合

現状で親知らず自身に問題がなく、他の歯に影響がない場合、抜歯せずにそのまま様子を見る場合があります。しかし虫歯リスクや歯列矯正に影響が出る場合のことを考え、歯科医院でマメにチェックしておく必要があります。

ただし親知らずがほんの少しだけ顔を出し、大方歯ぐきに埋まっているものの、横を向いており将来的に歯並びなどに影響を与える可能性が高い場合、切開して抜歯することも考えられます。しかし神経に近いところで埋まっているなどリスクが高い場合、抜歯するか放置するか、なんとも言えません。主治医の判断に委ねましょう。

親知らず抜歯後の注意点

親知らず抜歯後の注意点

通常親知らず抜歯後は、細菌感染に注意する必要があります。処方された抗生物質は必ず飲み切るようにします。またうがいですが、抜歯当日は何回もうがいをすることは控えなければいけません。

抜歯して穴が開いた部分に血餅(血で穴を覆うカサブタの役割)が作られることで、歯ぐきの早期治癒を促しますが、うがいを何度も行うと、血餅に必要な血が流れてしまい、傷口の治りを遅くしてしまいます。気持ち悪いかもしれませんが、抜歯当日、唾液を吐く程度にとどめておき、うがい薬を使ったうがいは翌日から行うようにします。

また抜歯部分には食べかすが詰まりがちになりますが、決して爪楊枝などでほじくり出さないようにして下さい。歯みがきは通常通り行えますが、抜歯した部分に触れないこと、また隣接する第二大臼歯の裏側は、力を弱めて優しくブラッシングするように心がけましょう。なお糸で縫合した場合、歯ブラシの毛先がひっかかってしまうことがあるため、気を付けて歯みがきを行うようにして下さい。

下顎の親知らず抜歯の場合、顎が腫れることがあります。また内出血が起こり、顎のあたりがぶつけたときのように青紫になる場合がありますが、どちらも時間の経過とともに治まっていくため、心配いりません。

親知らず抜歯後の痛みは1週間ほどで治まってきます。しかし親知らず抜歯後、だんだん痛みが増す場合、何らかの細菌感染が疑われます。痛みがどんどん増す、激しい痛みが続く場合は、すぐに歯科医院を受診するようにして下さい。

親知らず抜歯後のマウスピース装着について

では親知らずを抜歯した後、いつからマウスピースを装着しても良いのかというと、すぐに装着しても構わないと言われています。

というのも、インビザラインやアソアライナーなどのマウスピース矯正は、1日20時間以上装着することで歯の移動を促すため、マウスピース矯正中に抜歯を行った場合、傷口が痛いからと装着を怠ると、歯の移動が止まってしまい、矯正が進まなくなるからです。ただし抜歯後は口腔内を清潔にしておかなければいけません。

マウスピースを装着することで、細菌を閉じ込めてしまうことになりかねないので、処方された抗生物質はしっかり飲み切り、口腔内や抜歯後の傷口の清潔に細心の注意を払いましょう。マウスピースが血で汚れてしまうので、外した際は水でよく洗い、清潔にしておきましょう。

主治医とよく相談し、良い結果を得る選択を

矯正治療前にそのままにしておいた親知らずを何らかの理由で抜歯することは、治療上必要なことと判断されての結果でしょう。抜歯後にマウスピース装着は、痛みで辛いかもしれませんが、良い結果を得るために必要な処置と前向きに捉えましょう。

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