矯正コラム

歯の神経を抜いてしまう前に知っておくべきこと

2017年10月10日 (火)

大きなむし歯が出来たとき、歯の神経を取り除く治療が行なわれる場合があります。

歯の神経とは、どんなもので、どのような役割を担っているのでしょうか。そして、歯の神経の治療とは、どのようなことをするのでしょうか。歯の神経について、治療を含めてまとめてみました。

歯の神経について

歯の神経について
歯の神経のことを、正式には歯髄(しずい)といいます。歯髄には、歯の神経だけでなく動脈や静脈、つまり血管も通っています。

動物は、血管を通して身体の各所に栄養や酸素を供給しています。血管が損傷したら、栄養や酸素の供給に支障が出ます。場合によっては命に関わることもあります。大切な血管が損傷したときのセンサーとしての役割も神経は担っています。

歯の神経も同じで、歯に血管があるから神経があるのです。けれども、血管の存在を意識するよりも、むし歯で神経が痛むほうがイメージしやすいので、中には歯髄の部分を歯の神経だと思っている人もいます。

●歯の神経はどこにあるの?

歯は、歯ぐきから見えている歯冠と歯ぐきの中にある歯根から成り立っています。歯冠は、最も表側にあるエナメル質とその内側にある象牙質で構成され、歯根は象牙質のみで作られています。歯髄は、象牙質の内部にあります。歯根の先から歯の中に入り込み、歯冠の中心付近にまで達しています。

歯髄があるところを歯髄腔(しずいくう)といいます。正常な歯のレントゲン写真を撮影すると、どの歯であっても歯の内部に黒く写っている部分が存在します。この部分が歯髄腔です。一般的にレントゲン写真上の歯髄腔を指して、歯の神経といっていますが、側枝とよばれるレントゲン写真にうつってこないような非常に細い歯髄の枝も歯根の中を走行しています。

歯の神経の役割ってなに?

歯に神経が通っている理由は、次のような役割を担うためです。

●歯へ栄養を供給する

歯のエナメル質は、新しく生み出されることはありませんが、その内側にある象牙質はそうではありません。歯髄の最も外側には象牙芽細胞という細胞があり、象牙質を作り続けています。つまり象牙質は生きているのです。生きていく上で栄養や酸素は欠かせません。象牙質や象牙芽細胞に栄養や酸素を供給しているのが、歯髄です。

●歯の感覚を司る

象牙質には、象牙細管という非常に細い管があります。象牙細管には神経繊維は通っていませんが、内部には液体が入っており、内部の液体を通して歯髄に熱いものや冷たいものの歯の感覚を伝えます。

●象牙質を作る

歯にむし歯菌や熱いものや冷たいものの刺激などをうけると、歯髄は第二象牙質とよばれる新しい象牙質を歯髄の外側に作り出します。結果的に歯髄腔の容積は縮小してしまいますが、象牙質の厚みを増すことで、歯髄を刺激から守ります。

歯の神経を取り除かなければならない場合

歯の神経を取り除かなければならない場合
このように重要な役割をもっている歯の神経ですが、場合によっては取り除かなくてはならないことがあります。ここでは、どのような場面でその必要性が出てくるのかをご紹介します。

●むし歯

むし歯の大きさは、むし歯の深さに応じて4段階に分類され、それぞれC1・C2・C3・C4と表記されます。このうちC3が歯の神経を取り除く治療の対象となります。

C3は、歯の神経、すなわち歯髄にまでむし歯が広がった状態です。むし歯菌が歯髄に感染を起こした状態でもあります。菌が感染すると歯髄が炎症を起こし、痛みを引き起こします。一度感染を起こした歯髄から細菌感染を取り除くことは非常に困難です。現状では歯髄を取り除くことが最も炎症を緩和し、痛みを取り除くことができる治療法なのです。

C1は、歯の最表層部であるエナメル質に留まった状態です。C2は、エナメル質の内側にある象牙質にむし歯が達した状態です。C2では歯髄にまでは至っていません。C1やC2であれば、歯を削って詰めものをしたり、被せものを装着したりする治療となります。この段階までであれば、基本的に歯髄は残す治療が可能です。

C4は、むし歯が進行した結果、歯冠の大部分を失い、歯根のみとなった状態です。C4にまで至りますと、治療法は抜歯となります。このように、むし歯の治療は、C2とC3を境界として大きく異なります。

●歯冠破折

交通事故や転倒などによって顎を強くうつと、歯が欠けてしまうことがあります。歯冠が大きく破折し、歯の神経が露出した場合、歯の神経の治療の適応となります。

●感染根管

むし歯菌などの刺激を長期間にわたって受け続けていると、歯の神経が壊死してしまうことがあります。これを感染根管といいます。歯の神経が壊死すると、冷たいものや熱いものを歯が感じることありません。しかし、歯髄腔の内部で壊死した歯髄から細菌感染が歯根の外に拡大し、歯根の先に膿を溜めるようになります。

その結果、歯ぐきが腫れたり、食事の時に食べものを噛むと痛みが生じることがあります。感染根管になってしまうと、歯の神経の治療を行い、細菌を排除しなければなりません。

歯の神経を取り除く治療について

さまざまな理由で歯の神経を抜くことになった場合、どのような治療法があるのでしょうか。ここでは、主なものを挙げています。

●歯の神経の治療について

歯の神経を取り除く治療を抜髄といい、前述したようにC3クラスのむし歯が生じた場合などに適応となります。歯の神経を取り除くといっても、局所麻酔をすれば、痛みを感じることなく処置を受けることが出来ます。

抜髄すると、歯髄のあったスペースは空洞になってしまいます。この空洞を根管といい、抜髄した後は根管治療にうつります。歯髄の細胞を全て取り除いた上で、根管内を十分消毒し、根管内を無菌な状態にします。

そして、最後にガッタパーチャとよばれる専用の材料を使って緊密に充填し、根管内に隙間が生じないようにします。これを根管充填といい、抜髄から根管充填までが、歯の神経の治療となります。

●歯の神経を取り除くと

抜髄ののち、緊密に根管充填をして歯の内部に隙間が生じないようにします。しかし、側枝を含め、充填した後の根管内部に細菌レベルの大きさで隙間が残っている可能性は否定出来ません。

しかも、根管の内部には血管が存在しないため、身体の中で唯一免疫系の働きが作用しない空間になってしまいます。そのため、根管の内部に細菌が一旦入り込んでしまうと、それをおさえることが出来ません。そして、根管から出て歯根の先に膿の袋を形成します。

また、血管がなくなるために、象牙質が栄養や酸素が栄養を受け取ることが出来なくなります。その結果、歯がもろくなってしまいます。歯の感覚は歯髄が担っていますから、歯の神経の治療をした後、むし歯になっても歯の痛みという形でサインは現れることはなくなります。大きなむし歯になって初めて気がつくことも稀ではありません。

歯の神経をとった後、被せものをつけるのは、食べものを噛むときの力やむし歯から歯を補強する意味もあるのです。

●抜髄をしないといけないのにしなかった場合は

抜髄の適応であるにもかかわらず、そうしなかった場合、以下の症状が現れることが考えられます。

最も多いのが、歯の痛みです。冷たいものや熱いものに触れると歯が痛くなるという症状です。もちろん、ひどくなれば、何もしなくても痛みが続くようになります。冷たいものにしみるだけならまだいいのですが、熱いものにも痛みを覚えるようになれば、抜髄をした方がいいと考えられます。

また、歯の神経が細菌感染に抗しきれず、壊死してしまうことも考えられます。歯の神経が壊死した場合は、冷たいものや熱いもので歯が刺激されても痛みが生じることはありません。

症状が軽い場合は、歯が浮いた感じや食べ物を噛んだ時にうずく程度ですみます。しかし、更に進行していきますと、歯ぐきが腫れたり、痛くて食べ物を噛むことが出来なくなります。顔まで腫れてくることもあります。こうした症状は、歯の神経を壊死させた細菌が、歯根の先に膿の袋を作るのが原因です。

もし、このような症状が現れた場合は、まずは抗菌薬で炎症の緩和を図り、その上で歯の神経の治療を行ないます。抗菌薬が効いてくれば痛みも弱まってくれますが、しばらくの間は痛みが残っています。

矯正歯科治療の関係

矯正歯科治療の関係
歯並びが気になった時に行なうのが、矯正歯科治療です。矯正歯科治療では、ワイヤーやマウスピースなどを用いて、歯を動かし、歯並びをきれいに整えます。歯の神経をとると、歯が脆くなる可能性がうまれます。脆くなるからといって、矯正歯科治療は出来なくなるということはありません。

歯に歯を移動させるための力をかけた時は、歯ではなく歯を支えている歯槽骨に変化が生じ、これによって歯が動くからです。したがって、たとえ歯の神経をとって銀歯を被せた歯であっても、歯を動かすことは十分可能です。

まとめ

歯の神経のことを歯髄といいます。歯髄には、神経だけでなく血管もあり、歯は歯髄から栄養や酸素を受け取って生きています。また、歯の感覚も歯髄がなければ感じることはできません。歯髄にはこうした役割があり、その存在はとても大切です。

しかし、歯髄が如何に大切なものでも、歯の神経の治療をしなければならないことがあり、その原因は大きなむし歯や外傷などさまざまです。

歯の神経の治療をすると、歯が栄養を受け取れなくなったり、もろくなったりしますが、そのままの状態でいると、歯の痛みがとれなかったり、歯髄が壊死したりする可能性があります。もちろん、歯の神経の治療した歯であっても矯正歯科治療を受けることは十分可能です。

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